湿潤療法ご希望の患者さんへ

当院では、全ての創傷・熱傷について「湿潤療法」を基本とした治療を施行しています。その特徴は、以下の通りです。

  • 消毒はいかなる創傷でも一切行いません。水道水による洗浄をもっぱら使用し、可能であれば、物理的な洗浄効果を期待して、大量かつ適度な圧力が必要と考え、痛みに考慮しつつ、シャワーなどを有効に使用しています。ただし、創部の痛みが非常に強い場合には、適宜生理食塩水なども使用しています。
  • 止血と異物除去は徹底して行うため、必要があれば局所麻酔(麻酔を創部に直接注射したり、麻酔ゼリーやテープを駆使)を施行して処置もさせていただき、その後に湿潤療法を行います。また、壊死組織(血流がなく、感染した皮膚など)や、不良肉芽といって皮膚が生えてくることの邪魔になるような組織も積極的に手術で除去しています。ただし、お年寄りやお子様の場合や、傷の治療過程で自己融解(自然になくなっていく)が見込める場合は、経過を見ながら、最小限の処置にとどめています。
  • 基本的には、専用の被覆材を使い分けており、ラップ療法は行っておりません。
  • ガーゼ交換は、創の状態が落ち着くまで、もしくは患者さんが処置に慣れるまで、原則毎日受診をお願いしています。不可能な場合は、お近くの病院を紹介しています。
  • 感染した創には、内服の抗菌薬も適宜使用します。
  • 浸出液や膿の吸収のために、創にくっつかないメロリンガーゼ®などのガーゼも使用しており、必要があれば薬局で購入していただきます。
  • 植皮などの手術が必要と判断した場合は、形成外科に紹介しています。
  • 創治癒後のアフターケアとして、色素沈着(しみ)や瘢痕形成(ケロイド)などの予防や治療)も積極的に行っています。